日出処/椎名林檎 2014・日
"さすがプロの仕事ですね"というのが、この作品に関する感想だ。デビュー後何年経っても、一般人も玄人も満足させるような作品を作れるミュージシャンはなかなかいない。この作品はプラスの意味での評価もさることながら、それを"仕事"としてなし得た椎名林檎のプロ意識に敬意を表すると共に、やや疲れる作品であったことも否めない。

タイアップ曲が多いアルバムは、アルバムとしては一般的につまらないことが多いと思う。タイアップ曲はクライアントの意向も大いに反映されるから、1曲ごとの個性が際立っていたとしても、アルバムとして集約した場合バランスが悪くなる傾向がある。本作品ではタイアップ曲群が珍しく後半に集中していて、何とも言えない疾走感を持続するdriving forceにもなっている。ワールドカップのテーマが浮かないのがすごい。そして前半はオリジナルナンバーが中心で、彼女が表現したいことをまずリスナーに届け、皆が知っているシングル曲が雪崩のように続くというユニークな構成だ。最後まで飽きることはない。他の作品で後半ダレることはよくあるが、それがない。"CDにありがちな"ことが排除されている。

このような作品は素晴らしいと思う反面、作り手側の"ねらった感"も透けて見えてしまい、表現者の作品を堪能するのに合わせて、仕事人としての仕事っぷりを見せつけられているようで疲れる点も否めない。仕事帰りには聴きたくないアルバムだ。勿論永年音楽シーンの第一線で活躍するだけのことはあると感じさせられる作品であることは疑いようがない。ただ、音楽を聴いていると、作り手が一生懸命ペンを動かしたり楽器を弾いている光景が浮かんできてしまい、自由さや純粋な遊び心に欠けるような気がする。


推薦者:hammer
| hammer | ディスクレビュー-邦楽さ行 | 08:37 | comments(0) | - | - | - |
スポンサーサイト
| スポンサードリンク | - | 08:37 | - | - | - | - |