勝手に音楽批評Webサイト カルチャア
洋邦ロックを中心に勝手に音楽批評。昔は音楽のみでしたが、他のことも書いてます。
2008.06.23 Monday
Viva La Vida Or Death And All His Friends/COLDPLAY 2008・英
先日アルバムが待ちきれなくてレビューを前作の書いてしまったが、ようやく先週手元に届いた。まずジャケットを見てDragon Ashの昔のアルバムを思い出したのは夫とわたしだけだろうか?しかもDragon Ashの方がジャケットに関しては工夫がきいていて、「ジャケット面では」こちらの方が「勝利」しているような気がする。
結局何言ってるのか自分でもよくわからなくなってきたが、COLDPLAYは今の私がこの世の中で最も期待できるバンドの一つだってことが今回よ〜くわかった。
前置きが長くなってしまったが、一作品としてみたら好き。ただ、COLDPLAYというバンドで見た場合、ビジネスの側面において成功しすぎてしまった彼らの今作からは、これだけじゃ現在の彼らや今後の期待値は判断できないなあというのが本音のところ。もっと大きな実験的アルバムになるのかなと思ったがそうでなかったのが少し残念。確実にバンドとして成長を続けているのはわかるのだけれど、1、2回聴いたところで強烈に魂を揺さぶる何かがあるかと言われるとない。少し発展途上っ気がある。前作のように聴き続ければ、その奥の深さを理解できてだんだんはまっていってしまうかもしれないが。
成功したロックミュージシャンにありがちな「エレクトロ路線に行ってみました」「クラシックテイストをかましてみました」「オリエンタル的要素も入れてみました」的なにおいもある。特に後半はクラシックテイストが強いような気がする。もともとクラシック路線が強いバンドだから、やるからには徹底的にやってほしかったなという感が個人的に残る。ちなみに一番耳に残ったのは『Yes』。シューゲイザー感は、彼らの今までの作品にはなかったから。
まだCDしか聴いていないので、とにかくサマソニでどういうステージを披露してくれるのかそれに期待したい。かつてフェスで2回、単独で1回観ているけど本当にいいバンドだと思う。わたしの過剰な期待にどこまで答えて、裏切ってくれるのか、今から待ち遠しい。あと、Radioheadのように殻に閉じこもるバンドには決してならないことを祈る。
推薦者:hammer
2008.06.14 Saturday
X & Y/COLDPLAY 2005・英
何で今更このアルバムをレビューするのですかと聴かれるかもしれないが、いいものはいいと思う。わたしの仲間内では前作『Rush Of Blood To The Head』<静寂の世界>の方を評価する人が多いように思うしわたし自身聴きやすいと思うけど、明らかにクオリティはこちらの作品の方が高い。(と思う。)まあ、クオリティとかって基準が明確ではないので安易に使いたい言葉ではないが。
前作はどの曲もシングルカットしてもおかしくないけど、「あくまで1曲1曲できちんと起承転結、クローズしていた」世界観の狭さが、あったところもあると思う。今作は力一杯自分たちの思いをアルバムにぶち込んだようなエネルギーがあり、頭の中で乱れた妄想が顔にも出てしまったような、手のひらですくった水が手からこぼれ出るような「何か」がある。
まだ聴いてはいないけど、新作はそれをさらに上回りそうな感じがするし、今後もどんどんでかくなっていくバンドになるのだろう。いろんなバンドが使い捨てにされるこの世の中でそんなバンドが最近少ないことがとても残念だし、COLDPLAYには死ぬまでがんばってほしいバンドだ。
推薦者:hammer
2005.11.03 Thursday
Parachutes/COLDPLAY 2000・英
『YELLOW』『TROUBLE』などのヒット曲が収められた1st。COLDPLAYといったら、『A Rush Of Blood To The Head 』(邦題『静寂の世界』)のイメージが強すぎるが、1stもひそかにすばらしい。
確かに『A Rush Of〜』に比べたら地味な曲が多いしアルバム構成も拙いなと感じるが、これが1枚目から作れるとはすごいと思う。純粋にいいなと思える曲調でありながら、『A Rush Of〜』を聴くと1stで足りないなと感じたものが確実に達成されてるように感じられ、COLDPLAYとは成長力があるバンドなのだなと感じる。
今も若いがとにかく、若い。曲調は年代問わず受けそうなサウンドだけれど、かなりエネルギッシュだ。通勤電車で聴きながら元気をもらった。
推薦者:hammer
2005.11.03 Thursday
America's Sweetheart/COURTNEY LOVE 2004・米
名作。完璧にヤられた。
コートニー・ラブのファースト・ソロ・アルバム「アメリカン・スウィートハート」はホールの作品「セレブリティ・スキン」から五年半を経た作品だが、素晴らしい。素晴らしいすぎる。グランジとカート・コバーンの亡霊にとりつかれていたホール。しかし、このアルバムで鳴らされる音はグランジでもないし、カート・コバーンの亡霊にとりつかれてもいない。コートニーというポップ・アイコンが自らの原石から削りだした光輝くダイヤモンドだ。それが12曲も鳴らされる。完全な構成、ロックのダイナニズム、ブルーズカラーを含んだバラード、どれをとっても素晴らしい。アルバム自体が彼女そのものを感じさせる。酒とドラックでやけた歌声、ラフに鳴らされるギターのリフ。それらそのものが最近の彼女のフラストレーションとしてアルバムに溢れ出ている。彼女はマドンナでもない。ビョークでもない。リズ・フェアーでもピンクでもない。だけど今、一番ロックン・ロールを演じて、「彼女自身」を表現している存在だと思う。男性の僕から見てもかっこいい、最高にクールだ!このアルバムは男女ロックが好きな人にはお薦めである。
推薦者:めぐめぐ氏
2005.04.17 Sunday
Live 2003/COLDPLAY 2003・英
コールドプレイというバンドは本当にとてつもないバンドだ。
バンドの完璧なコミュニケーション、テクニック、そしてオーディエンスを完全に包み込む雄大なサウンド。時折、クリスはマイクをオーディエンス側に向けるシーンがあるが、皆大合唱である。『パラシューツ』が発表されて3年、『静寂の世界』が発表されてから1年、「世界」のコールドプレイになるとは誰が考えただろうか。『パラシューツ』についてアラン・マッギーは散々にけなしたし、オアシスのノエルも当初、否定的なコメントを発表していた。それが今ではイギリス最高のバンドとして評価され、イギリス以外の各国でも高い支持を受けている。これは90年代後半のオルタナティブという「ロック」を取り巻く状態おいて、コールトプレイがオルタナティブ・サウンドを内在化させながらも、メイン・ストリームという逆の方向性へ移行したということではないだろうか。
鋭いギターと力強いドラムが炸裂する『シルバー』。イエローの光が舞う『イエロー』。破壊的に美しい『トラブル』。そしてなにより、会場が光に包まれ、クリスがオーディエンスと共に歌う『イン・マイ・プレイス』・・・一つ一つがこれまでの集大成となる結晶になってコールトプレイを形作っている。
このライブはとにかく美しく、力強く、そしてはかない。活動の一時休止を発表したバンドだが、アルバム、DVDをしっかり見て聞いて彼らが素晴らしい楽曲と共に帰ってくるのを待とう。
推薦者:めぐめぐ氏
2005.01.23 Sunday
Singles 93-03/THE CHEMICAL BROTHERS 2003・英
ケミカル・ブラザーズが90年代の「テクノ」というジャンルの概念の「破壊者」として様々な「テクノ」を我々に提供したことは重要なことである。
「アシッド」という「踊れるロック」という一大ムーブメントが産み落とした子、ケミカル・ブラザーズはテクノにロック・サウンド、ブレイク・ビートを取り入れ、分厚いビートを主体した完全なる「ロック」をそこに生み出したのだ。さらに様々なアーティストのコラボレーションを盛んに行い、「ケミカル・サウンド」を世界中にバラまいた。このシングルズはその彼らの功績をかいま見ることができる。とにかくロック・チェーンの連続である。今までケミカル・ブラザーズを聞いたことない人は必聴である。
推薦者:めぐめぐ氏